2025.2.16
十一面観音が泣いている
スーパー銭湯と違い庶民的な昔ながらの銭湯では背中にもんもんのあるお客様を拒んではいません(少なくとも贔屓にしている江戸川区内の銭湯では)。
もんもんが有ろうが無かろうが、生まれたままの姿でありがたくお湯をいただく市井の人々を、わけ隔たり無くということと思います。
とりわけもんもんをしょった方々には、己を律する強い気持ちをお持ちなのではと推察致しますが、あろうことか、初めてその自身の背中のもんもんを汚すようなオッサンに出くわしました。
浴室に入ってくるやいきなり自身の風呂道具を洗い場におき、そのまま湯舟へ(しかも結構混みあっているにもかかわらず)。その洗い場の正面には「場所取り禁止、お風呂の道具は出入り口横などの2か所の棚へ」とあります。サウナもあり、また人気の炭酸泉もある銭湯なので、尚更この銭湯では場所取り(洗い場の鏡の前に風呂道具を置いたまま、しばらく利用しない)を禁じています。
このオッサンの背中には十一面観音。
十一面観音は白山の下山仏や向源寺(渡岸寺観音堂)を中心とした湖北の観音の里、奈良の聖林寺、長谷寺などを訪ねてきましたが、特に自分自身を育んでくれた白山の開祖、泰澄大師はこの十一面観音を本地とする妙理権現を感得しています。
このオッサンは背中の銃一面観音からどんな奥深い道徳や真理などを感じ悟ってきたのでしょうか?
十一面観音の正面の裏側は暴悪大笑面、丁度このオッサンの顔と同じ向きになりますが、このお顔は悪や衆生の悪行に対する、怒りを通り越した笑いを表現していると聞きます。このオッサンは自身の行いをご自身で笑い飛ばしているのでしょうか?
十一面観音の正面と背面のお顔は同じ人間の善も悪も宿していることを表すものと理解しますが、だからこそ背中の十一面観音は自身の善と悪を律する証。その証である十一面観音が泣いていませんでしょうか?
たまに銭湯で見かける田村隆一さんの詩
銭湯すたれば 人情もすたる
銭湯を知らない子供たちに 集団生活のルールとマナーを教えよ
自宅にふろありといえども
そのポリぶろは親子のしゃべり合う場にあらず、ただ体を洗うだけ。
タオルのしぼり方、体を洗う順序など、基本的ルールは だれが教えるのか。
われは、わがルーツをもとめて銭湯へ。
がありますが教えなくてはいけないのは、渡世も銭湯も知り尽くしている大人へ、ルールとマナーをですね。
冒頭写真は旅の指南書としている丸山尚一の「十一面観音の旅」と「続 十一面観音の旅」、白洲正子「十一面観音巡礼」。
白洲正子の文庫版は2冊になります(一冊は城廻りの師匠の本棚整理の際、このまま処分されるには忍びなく頂いてきました)。
2016年夏に東京芸術大学で開催された「観音の里の祈りとくらし展II ─ びわ湖・長浜のホトケたち ─」にて
右は石川県の公衆浴場・浅の川温泉「湯楽」に掲げられている田村隆一さんの詩
2016年に東京国立博物館で開催された特別展「平安の秘仏―滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」にて。櫟野寺(らくやじ)本尊の秘仏・十一面観音菩薩坐像に圧倒されました。
その際に購入した櫟野寺・十一面観音菩薩坐像の野帳
2025.1.5
光明石温泉・呉羽の湯(富山市呉羽町)
皆様あけましておめでとうございます。
さて久々に年末年始は故郷で過ごしてきました。
その報告方々の今年最初はやはりお風呂ですね。年末年始の旅のスタート、富山の銭湯からです。
当ブログでも紹介した福岡の湯(富山県高岡市)と同じ蹊成クリエイト株式会社(高岡市)さんの温泉銭湯です。
呉羽町は朝乃山の出身地で(近くに後援会事務局)休憩室には幟旗もありました。きっと関取登場場面ではここで相撲観戦賑わうんでしょうね?
2024.12.16
都内最古の銭湯、18日で廃業になります
船堀に住んでいた頃に良く通った「あけぼの湯」さんですが、この12月18日を持って廃業となります。
都内最古の銭湯だけにその貴重な存在の閉店は、寂しさだけではない喪失感があります。
たぶんこれが最後となるあけぼの湯さんへ寒空の中行ってきました。
やはり普段よりお客さんが多く、惜しむ声が多いことがよくわかります。
2024.12.1
栄湯(葛飾区高砂)
2024.11.13
興和浴場(葛飾区鎌倉)
2024.11.12
福岡の湯(富山県高岡市)
福岡の湯を経営する蹊成クリエイト株式会社(高岡市)さんは、福岡の湯の他にも銭湯を経営(福岡の湯、有磯の湯、となみのゆ、呉羽の湯)しており、他の湯にも立ち寄ってみたいものですね。
2024.10.14
恒例の銭湯スタンプラリー始まりました。
毎年秋から始まる江戸川区銭湯組合さんの恒例行事が、今年も9月から始まりました。
まずは5個のスタンプでオリジナルタオルを取得。今後、トートバックやバスタオルを年末まで狙います。
2023年スタンプラリー
2022年スタンプラリー
2024.07.22
愛缶動意図 I can do it ! You can do it !
江戸川区浴場組合は時折面白い企画を実施してくれますが、今回は区の環境部清掃課とコラボしたアルミ缶の回収です。
週1の資源ごみの収集現場で結構アルミ缶や新聞古紙などの持ち去り現場を見かけることがありますが、この企画で今アルミ缶の持ち去りの防止と、区内浴場利用の促進を図るといいます。
さっそくスタート初日に山の同窓会で大量に出たアルミ缶を引っ提げて仁岸湯へ。
区内で排出された紙資源を一部使ったオリジナル包装のトイレットペーパーをいただいてきました。
2024.07.12
ぐ〜す〜月刊とくし丸に田中みずきさん
移動スーパーとくし丸はオイシックス・ラ・大地株式会社に買収される(2016年、創業は2012年で2台の移動販売車でスタート)前から注目していましたが、近所のスーパーも提携先であり親しみを感じております。
そんなとくし丸が発刊する雑誌に銭湯絵師・田中みずきさんが登場と知り、さっそく取り寄せてみました(6/7月号)。
田中みずきさんの特集の他、中村敦夫の人生相談(老いの一刀)や酒田出身の佐高信(酒田北前大使・酒田ふるさと観光大使)の連載「母の空」も面白い。
2024.06.13
旭湯(宮古)と旅ふろカード
岩手県下の久々の銭湯です(花巻の高砂湯以来か?残念ながら高砂湯は2014年末に廃業してしまいました)。
番台で初めて出逢ったのが「皆様石鹸」の「旅ふろカード」。へーこんなんあるんだと、購入しました。
現在、銭湯専売品としてこの皆様石鹸を販売するフェニックス(1946年創業、奈良県御所市)さんのHPによれば
皆様石鹸は1995年(昭和30年)は20円化粧石鹸として誕生(当時清和油脂工業株式会社)。1957年(昭和32年)皆様石鹸が社名となりました。時代の流れとともに皆様石鹸の製造が中止となり、現在は株式会社フェニックスとして石けんの製造を続けています。
とのこと。
皆様石鹸取扱の銭湯に皆様石鹸とともに「旅ふろカード」を巡る旅をしてみませんか。
とあります。
「旅ふろカード」付の皆様石鹸を取り扱う銭湯はこちらにマップがあります。
江戸川区にもありますね。
マップによれば2023年11/26現在、全国で63湯の銭湯にあるそうで、何でも88か所を目指しているとか?銭湯お遍路ですね。
ちなみに岩手は今回の旭湯のみ(東北では唯一)、北陸では富山に散見されるものの、石川や福井は無し、寂しいねー。
2024.04.08
テルマエ展スタンプラリー
東京都浴場組合とパナソニック汐留美術館のコラボ「テルマエ展スタンプラリー」で、さっそく2つの浴場印を集め、美術展を鑑賞してきました。
休日ということもあり結構にぎわっていましたね。ちょうど漫画「テルマエ・ロマエ」で知られるヤマザキマリのトークショーがこの日開催ということも影響したでしょうか?いずれにせよ展示会場の狭さにちょっと落ち着けないほどの賑わいの中での鑑賞となりました。
一番の収穫は「テルマエ」とは「熱い」という意味のギリシャ語「テルモス」に由来ということで、長年愛用の魔法瓶「サーモスTHERMOS」(たしかに昔はテルモスと呼んでいましたね)の名前の由来が判明したことでしょうか?
またローマ市で最初のテルマエが、初代皇帝アウグストゥスの右腕・アグリッパによって建設されたとありましたが、アグリッパは、中学だったか高校性の頃、小生が初めてスケッチに選んだ石膏像でした。
展示会の副題は「お風呂でつながる古代ローマと日本」ということで日本のお風呂文化・銭湯も展示紹介がありました。
2024.04.04
「わたしは銭湯ペンキ絵師」田中みずき
江戸川区内の仁岸の湯に置いてあった本書(秀明大学出版会・2021年)を手にし、ちらりと拝見。
すぐにお気に入りに追加となり購入に至りました。田中みずきさんのブログはよく拝見させていただいておりますが、本書ではブログとは違う田中みずきさんに触れることが出来ました。
近所の第二寿湯や江戸川区内の銭湯も多く紹介されており(湯煙コラム)、また田中みずきさんのペンキ絵に会いに銭湯へ出かけたくなります。
2023.12.25
乙女湯と乙女河岸
当ブログでも紹介しています江戸川区船堀の「あけぼの湯」と兄弟関係にある「乙女湯」の起源を巡る偶然の旅となりました。栃木県小山市へ、城廻りの師匠と年内最後の小さな旅です。
「あけぼの湯」の「当店の沿革について」には思い川(思川、利根川水系渡良瀬川支流)の乙女河岸が「乙女湯」との由来が書かれています。
こちらの「あけぼの湯」さんのサイトにも同じ由来が紹介されています。
船堀は香港から帰国して5年ほど住んだ地で、「あけぼの湯」「乙女湯」はよく利用した銭湯ですが、そんな銭湯と旅先で訪れれた地の点と点が偶然につながる喜び。旅の醍醐味の一つですね。
冒頭写真は思川にかかる乙女大橋(1955年の架設)。
2023.12.09
百年を迎えた吉野湯(江戸川区平井)
旧ブログでは2回紹介している吉野湯(先代は羽咋出身)さんへ久々行ってきました。
湯上りに休憩所で和んでいると前には無かったタオルが販売されています。吉野湯さんの創業百年を記念するものでした。
1923年(大12年)創業というと、47年前に事故死した親父(大正13年生まれ)が生きていれば来年は百歳かと思わず連想。親父や弟と雪を踏みしめ行った少年時代の近所の関の湯(とうに廃業)も思いだしました。
2023.11.27
お湯の富士を背中に
今年はTシャツが登場し張り切っておりましたが、ついにゲットです。
ちょっと寒くなってきたので、これ見よーがしに、このTシャツを来て入浴セットを掲げて銭湯という、いで立ちはちょっと難しいのですが、お湯の富士を背中に銭湯へ通うのが楽しみになります。
お気に入りの銭湯グッズの仲間入りです。
2023.09.29
今年も始まりました銭湯スタンプラリー
今年はTシャツが登場!9月1日から始まりましたが、なんと3日目でTシャツを手にした強者もいるそうですが、とりあえずは手ぬぐいをいただきTシャツを目指しています。
9番目のスタンプは9月4日にペンキ絵が新しくなった西小岩の武蔵湯さんでした。ペンキ絵の刷新の様子は絵師の田中みずきさんのブログで新旧の絵と共にご覧になれます。
フロントのご主人によればお母さんの出身は中島町(石川県)だそうです。
2023.08.19
小判が浮いてた薬師湯(墨田区向島)
猛暑の休日、開店の15時半前に参上です。
ここはペイペイでの支払いが可能(銭湯では初体験)で、嬉しいことにちょうどこの日から墨田区の商店街連合会加盟の薬師湯さんでは30%というキャッシュバックが適用です。もちろん入浴代金のみならず湯上りの牛乳も含めてです。
さてカウンターで友の湯さんの話をすると、大変喜んでいただきました。
横にいたおっちゃんが、募金の時は俺も千円募金したよと横から入ってきます。
浴槽にも友の湯さんのことや、それに関連した新聞記事が掲げられていました。
そして湯舟で驚いたのが小判がいくつも浮いてたことです。
もちろん本物ではなく入浴剤のようでした。
2023.08.01
友の湯(気仙沼)さんを応援!
宮城県下の銭湯は5軒、うち4軒は仙台市内で残る1軒が気仙沼の友の湯さんです。
浴室に流れるjazzyな音楽がまたいいですね。
ご主人によれば、東京スカイツリーのお膝元、墨田区の薬師湯さんのご夫婦が先日もやってこられたと話していました。聞けば薬師湯さんにはずっと応援していただいているとか。
311を乗り越えまさに気仙沼では孤軍奮闘ですが、各地に応援団もおられます。
微力ながらその応援団の一人に加えていただきます。
ちょうど友の湯さんの玄関前で月に1度「かっちゃんの野菜販売」が開かれており、さっそく白ナスやトマト、おくらを購入させていただきました。
2023.03.20
第二寿湯のペンキ絵がJAPAN SODAに

ご近所の銭湯、第二寿湯さんがペンキ絵を書き換えるということで2日間臨時休業。1日遅れとなりましたが、どんな新作にと楽しみに開店時間早々に。
入り口の暖簾も変わっていました。そして番台を抜け脱衣室から見渡す新作とは、、、なんと暖簾の富士山とJAPAN SODAに。
帰宅して調べると絵は前作と同じ田中みずきさん。モノクロ富士山に真っ赤な太陽、日の丸?なかなかですよ。こちらでご覧になれます。
なお、実物もしばらくの間だけとかで、また書き換えられるそうです。
当面第二寿湯通いとなりそうです。
第二寿湯と日本盛さんのコラボにかんぱーい!


